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母という名の女のマのレビュー・感想・評価

母という名の女(2017年製作の映画)
4.7
初っ端から人間の性を(演出的には)冷笑する、でも後の反復されるシーンで行為を冷笑する人物は...

ヒューマニズムを一切信じないのかと思いきや 信じないことを映画として見せることで強いヒューマニズムを打ち出してることが分かるラスト。ミシェルフランコは冷笑家のように見えて全然そうじゃ無い 冷たいモノを突きつけることで現実から逃げる隙を与えない映画としての厳しさ。母性が暴走し、欲望と連結すると父権と化し、そこにノリノリかつ無自覚にタダ乗りしようとする男性の愚かさがキツい 全ては父による責任の押しつけから始まってる。

母性と欲望の暴走の描き方、テーマ自体はミソジニーにすらなり得るものだけど そうならないのは、「解決」した後のマテオの態度が分かりやすく教えてくれる 勿論映画として「母性」なのか「父権」なのか「欲望」なのか色々な解釈の余地を残してるけど。

マテオへの視点が母親的なのも、結局自分で子供が作れれば良いという着地も... "子供"に対する欲望が全ての行動原理。親は例え子供にとっても人間であって それ以上でもそれ以外でもないと思う、社会が母親像に対して求める過度な期待、押しつけ、強制は何も生み出せない、苦しみを生み出してしまうと再確認した。

自分は女性ではないし 子供を持つ予定もないし 母性がどのようなものなのか分からないけど、子供を持ったから「親」という神になれる訳では無い、当たり前なのに何故かすぐ忘れられ、そこから外れる人への攻撃は正当化される(特に女性に対して)、親に責任が無いなんて言い切る気は無いけど この風潮は相変わらず気持ち悪いと思う。

ティーンエイジャーみたいなイチャイチャをする場面でうっかり泣いちゃった。
在る終焉を先に見てると映画全体にあるフラグの強さに永遠にヒリつく。
マ