lami

女王陛下のお気に入りのlamiのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.2
恐ろしく醜くてヒステリーなアン女王。
そんな女王の寵愛を取り合う2人の女。
幼馴染で長年女王に寄り添い裏で政治を操るサラと、返り咲きを夢見る没落貴族の寺女アビゲイル。曲者揃いの宮廷不条理劇。

優雅でありながらキレのある音楽の使い方が印象的*あれ?ヨルゴスさんにしては優しめの設定かな…なんて思いながら観ていると、段々とこの監督らしい展開に笑 人間の滑稽さがブラックな笑いを誘う…

手段を選ばず大胆な行動に出る"ツワモノ"、アビゲイルを演じるのはエマ・ストーン。
アビゲイルは女王に共感し、優しい言葉をかけ巧みに操ろうとする。

レイチェル・ワイズ演じるサラは、頭がキレて、その上男装がよく似合っていて、乗馬したり鳥を撃ち殺す姿までもがかっこいい。
女王に対して「そのメイク、アナグマみたい」と、メイク直すように諭したり、ズバズバ本音を。笑
サラと女王は共依存的な関係に陥っており、そこらへんの乙女心がまた複雑!!

アン女王は今世紀女王映画の中で一番醜いんじゃないか、と思うほどで(笑)、オリヴィア・コールマンの演技力に圧倒させられる。これが実話なら、心身共に重い病を患っているだろうな…という感じ。絵的にもかなりキツかったです。

貴族の男同士で、裸の一人に対し赤い果実を投げつけまくってるシーンが最もキツく、何見せられてるんだという気持ちになったり。笑(アレハンドロ・ホドロフスキーを思い出す…)

意味深過ぎる輪廻的コラージュで幕は閉じる。女王に愛されているはずのウサギたち。動物は愛すべき"ペット"ではなく、ただの"動物"でしかないと感じさせられる。何というか、どの子も無表情で、まるで意思疎通不可能な野生動物のような描かれ方。
lami

lami