Kaz

女王陛下のお気に入りのKazのネタバレレビュー・内容・結末

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

イギリス宮廷を舞台にした女の戦い。3人の女性が主役だが、配役上の主役はアン女王(オリヴィア・コールマン)。しかし、サラ(レイチェル・ワイズ)とアビゲイル(エマ・ストーン)も主役級の存在感があります。

政治の実権を握り、夫も軍事の重役につけるためにアン女王に取り入るサラと、名誉、地位の回復のためにアン女王に取り入るアビゲイル、そして二人からの(表面上のということもある程度理解した上で)好意を受け取り承認欲求を満たしたいアン女王の三すくみな関係性。
最終的にサラは宮廷を追放され、アビゲイルが女王の側近に収まりますが、サラはどこか清々しく、逆に女王とアビゲイルは虚無感が残るようなエンディングでした(と私は感じました)。途中サラがアビゲイルに、「(あなたとは)目的が違う」と言っていたがまさにそうで、アビゲイルは別に政治力を握りたいわけではなかったわけで、二人は争う必要は本来無かったのかもしれない。戦いの後のモヤモヤとしたエンディングの完成度はなかなかのものです。

当時の服装等に詳しくないので詳細は分かりませんが、衣装、舞台背景等はすごく綺麗。まさに豪華絢爛という感じで、貴族社会のイメージにぴったり。
カメラワークも顔のアップが多かったりで印象的。あとで知りましたが特殊なカメラを使っているらしい。衣装と合わせて、絵はとても綺麗です。
役者の皆さんもとても良い演技でした。とくに女王役の方は圧巻という感じ。無言の中突然感情が変化する場面の表現など、感情の変化が激しい役でしたがお見事な演じ分けでした。GG賞の受賞も納得です。

ストーリーの本筋は前述のとおりシリアスな女の戦いですが、監督の趣味趣向でしょうか、ところどころブラックジョーク(下品さ)がありふれており、好き嫌いは別れるでしょう。R指定があっても良いくらい。正直私はイマイチ。

あとは女の戦いと言ってもそこまで強烈ではないかな。流れが丁寧なので、感情の揺れ動きとかはとても理解しやすいですが、昼ドラ的なドロドロさを求めると拍子抜けするかも。

あとは、エンディングの曲(エルトン・ジョンの曲らしい)が雰囲気に合っていないような…。私が洋楽に詳しくなく、歌詞とかよくわからないからそう思うだけでしょうか?せっかく弦楽の雰囲気良いBGM出来てたのだから、ラストもそんな感じの曲が良かったな〜と思います。

総じて、好みの人にはとても良い作品でしょう。あとはブラックジョークが好きかどうかでしょうか。
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