このレビューはネタバレを含みます
スウェーデン出身の若手、鬼才リューベン・オストルンド監督の2017年カンヌ映画祭のパルムドール受賞作。文化人たちへの辛辣な皮肉には賛否渦巻く異色作。
格差社会を風刺する個性的な話術は圧巻で、GPS、置き配などのモダンな事象を物語に取り込む才能に溢れ、散発的にしか見えないエピソードを繋ぎ合わせる事で、陳腐にならずに語る手法はピカイチ。
以下は物語。
ストックホルムにある、元宮殿を使った現代美術館のチーフキュレーターのクリスチャンが取材で、仕事の難しさは資金調達と語る。
ある朝、クリスチャンは出勤途中にスマホと財布、カブスボタンをスリに取られる。部下のマイケルがGPSで追跡し、スラムのマンションにある事を突き止め。マンション全戸に返すように脅迫する手紙を投函する。後日、荷物集積のセブンイレブンにスマホと財布が戻る。
クリスチャンは取材したアンと再会し、SEXするが、クリスチャンには単なる一夜の遊びに過ぎない。
セブンイレブンに脅しの手紙も送られてくる。アラブ人の子供が両親に泥棒呼ばわりされ、マイケルに謝れと詰め寄ってくる。
クリスチャンは新たな新作展示「ザ・スクエア」のプロモーション会議にも身が入らず、周囲に託している。
アラブ人の少年がクリスチャンの家にも訪ねてくる。2人の娘が怪訝な様子で、クリスチャンには大人気なく、力づくで追い返す。
少年に酷い扱いをしたクリスチャンは後悔して、一旦は捨てた手紙を探し出し、少年宛にお詫びの電話をするが留守で、お詫びの動画メッセージを残す。
美術館では寄付者向けのイベントが開かれ、晩餐会の出し物として、猿人に扮したアーティストが参加者に絡み、会場は修羅場と化す。
新作展示「ザ・スクエア」の宣伝展開で、ネットに上げられた動画が物議を醸し、炎上する。貧しい金髪の少女が爆死するという衝撃的な内容だったが、クリスチャンは見てもいなかった。
後日、記者会見が開かれ、クリスチャンは辞任を告げる。
クリスチャンはアラブの少年に詫びる為、スラムのマンションを訪れるが、彼は既に引越していたのだった。