キャッチ30

ザ・スクエア 思いやりの聖域のキャッチ30のレビュー・感想・評価

3.4
幾何学的なイメージと不寛容という題材が目を惹くが、いささか物足りない。むしろ、冗長すぎるきらいがある。

美術館のキューレーターであるクリスティアンは「ザ・スクエア」という新たな展示企画の準備をしている。それは、会場に設置された四角形の枠内で「思いやりの聖域」をテーマにした参加型アートだ。ある日、クリスティアンはスリに携帯電話と財布を盗まれてしまう。GPS機能で犯人の住所であるマンションを突き止め、全戸に脅迫めいたビラを配る。その甲斐あって、盗まれた携帯電話と財布を取り戻すが、事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。

監督のリューベン・オストルンドはアートを通じて、他者への無関心に溢れている社会にメスを入れる。物乞いをする貧困層には目を向けず、助けを求める声には誰も聞こうとしない。

一方で、この映画には物足りなさもあった。確かに、テーマは良いが、アート業界と社会の不寛容さをどう結びつけるかが具体的に示されていない。さらに、クリスティアンが右往左往する時間が長く感じられた。この映画に爆発力を期待する人は諦めた方が良い。