オリエント急行殺人事件のポワロ役やドレッサーの名優アルバートフィニーの唯一の監督作。イギリス映画らしいシニカルさ。監視カメラ越しの撮影や独特の間や視点に面白さがあるが、結局何を言いたいのか伝わらなかった。センスはかなりいい。まだ新人のライザミネリが初々しい。

21歳のライザ・ミネリがアン・ハサウェイみたい。故郷マンチェスターで息子とサッカーの試合を見に行くのがクライマックスというくらい何も起こらない物語。監視カメラによるマルチスクリーン効果や突然現れる気球などシュールな描写がリンゼイ・アンダーソン風だが本作の方が早い

作家として成功し、セレブになったが上流階級の世界に馴染めない労働者階級出身の主人公が、息子に会いに故郷のマンチェスターに里帰りするが、やはり環境の違い、価値観の違いでギクシャクしてしまう。登場人物がみんな性格悪いのが英国流リアリズム。口うるさい家政婦を監視モニター越しにモデルガンでバシバシ撃ちまくるシーンで思わず爆笑した。着実におマンチェの悪ガキ予備軍の道を歩んでいる息子がいい味出してる。60年代のマンチェスターの労働者居住区が、空襲後の焼け野原か津波の引けた後かという状態で、はっきり言って怖い。ライザ・ミネリの映画デビュー作とのこと。
2017.6.19 ザ・シネマ(録画)(字幕)