映画版前二作との大きな違いは、戦闘スタイルがカンフー縛りではなくなったことと、3人が初めからなあなあの関係ではないということ。
前者はどっちだとしても映画的には関係ないが、後者の設定は物語の中で育まれるものが追加されることで、一からチャーリーズ・エンジェルのファンを再構築する狙いもあると思われる。
序盤の落とした落としてないのくだりから犬猿の仲のような関係性を繋いで置く。意識を失い、病室で意識が戻った後、なんで泣いてるの?、泣いてないのくだりひとつで互いに信頼できる関係性に変化したシーンはよかった。
エンジェルたちの働き方も時代に合わせ変化している。仕事柄、体を酷使しなければいけないため整体師&栄養士みたいなポジションの役が用意されていたり、痩せ男・フェミ男と揶揄されてきたフェミニンな男性像のあり方も肯定的にその役柄に落とし込めている。
細かいところでいうと、エリザベス・バンクスとエンジェルたちの会話の中でバードマンネタがあったのだが、どういったジョークなのか理解できなかったのが悔しかった。
うっすら軽薄なポリコレ表現もあるが、クリステン・スチュワートを筆頭にメインキャラがドヤ!をしないクールさが作品の粗をきれいにまとめている印象。その点に関して言えば前二作から引き続き、現代社会における女性であることの苦悩みたいなものを押しつけず、社会の中で生き生きとした姿でいることの正しさと素晴らしさを改めて感じさせる。人生を楽しそうに生きているという単純で当たり前の姿で大人の女性を映し出すことは、案外重要なことではないかと思う。
おすすめの一本です。ドラマ版もあるらしいので観てみたい。