Kumonohate

女であることのKumonohateのレビュー・感想・評価

女であること(1958年製作の映画)
3.8
川端康成の小説の映像化。脚本は何度も書き直され、決定稿は川端本人に褒められたそうだ。

まあ、未熟者の私には、女心というものが本当にこのようなものなのかどうか、一向に計り知れないが、川端康成&川島雄三の両巨匠がこのようなものだというのなら、きっとそうなのだろう。にしても、よくもこんな難しいテーマを映像化したもんだと思う。

そして、難物に挑んで競演する三人の女優がいい。

奔放だが心の持って行き場を見つけられずにあがく久我美子。その久我美子の登場で女心を掘り起こされ揺れ動く原節子。その原節子に守られるが故に感謝しつつも心を閉ざし籠の中の鳥であることに反発する香川京子。いったいどう変化するのか、何故そう変化したのか、見ていてなかなか読み通せない心理の動きを、三者三様に素晴らしく演じている。

で、やはり原節子はこうでなくちゃと思う。

個人的に原節子の魅力を最も引き出したのは成瀬巳喜男だと思っているが、本作の原節子はそれに近い。男を突き放すような冷ややかな眼差し。思わずごめんなさいと言ってしまいそうな突き刺さる眼差し。成瀬作品ほどではないが、そんな原節子の目を堪能できる作品。
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