特売小説

パティ・ケイク$の特売小説のレビュー・感想・評価

パティ・ケイク$(2017年製作の映画)
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厭世観を着込んだ孤高の表現者が身も心も丸裸になって見せようと素性を喋ろうとする段でそれをさせないだとか。

その伏線を回収すれば逆転劇として盛り上がる、という場面で寸止めするだとか。

一方、あまり感情移入の出来ない母ちゃんのエピソードはそんなにも感動的な形で回収すんのかよ不意打ちずっけーだとか。

演出意図の判り兼ねる外しがちょいちょい見受けられましたけれども。

刹那に生きる婆ちゃんの痛快な切れ味だとか、アンチクライストを自称する彼の問答無用の佇まいだとか、ただその有様で以て既に説得力が抜群、例えばその背景などについて明言も説明も不要の魅力的な登場人物を擁した旅団が夢の世界に暗雲をもたらす現実をぶっ絞める冒険譚、ならばこちとらもその行間を埋めるも容易ってもんで。

仲間集めも佳境の段落、いよいよ地獄の門を潜ろうという件に映画的快感のぎゅっと凝縮して込められて在って。

いかされっちまいましたよ抜かれっちまいましたよたっぷりと。
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