MasaichiYaguchi

スペインは呼んでいるのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

スペインは呼んでいる(2017年製作の映画)
3.4
イギリスのショービジネス界で活躍するスティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンが本人役でグルメ取材の旅行を描く第3作の舞台はスペイン。
スペインと言うと闘牛やフラメンコ、美術愛好家だとゴヤ、ピカソやダリといったところが思い浮かぶが、本作には登場しない。
とはいえ、北はバスクから南はアンダルシアまで地中海を目指してレンジローバーを駆っての旅では風光明媚な田園風景や、世界遺産のクエンカの街、イスラム文化が色濃いグラナダが登場し、その訪れる場所ごとの美味しそうな料理とワイン、そして二人の陽気な会話で楽しませてくれる。
この陽気な会話では芸達者な二人の“モノマネ合戦”が繰り広げられ、思わず吹き出してしまう。
ただ本作は、単に観光と美食に彩られたイギリス人中年男の“弥次喜多道中”を描いたものではなく、彼らが言う“円熟の50代”とは裏腹に悩み多きプライベートがペーソスを滲ませて浮き彫りにされる。
人間は何時まで経っても惑い、さ迷いながら生きていく存在なのかもしれない。