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テリー・ギリアムのドン・キホーテのあのレビュー・感想・評価

4.8
幾度となく挫折を繰り返しても尚、“ドン・キホーテ”を撮りたいと四半世紀の長きに渡って挑み続けた監督の姿は、題材である騎士であると信じ込み邁進し続けるドン・キホーテと結果として重なり、現実と向き合うべきか、夢を追い続けるかという究極の問いを描いた本作を体現しているようでもあり、全てが一体となって集約された主人公の姿に胸を打たれる。
本作は、“夢を追う”という概念を“ドン・キホーテ”で見立てているのだけど、その演出というか話の構成力が本当に絶妙で唸らされる。
映画監督になる事を夢見てた主人公と靴職人として細々と暮らしていた老人が出会い、“ドン・キホーテ”を二人で作った事をきっかけに人生が交差して袂を分かって幾年月、再会した事で止まっていた歯車が再び動き出すという始まりからの全ての事が好み過ぎた!
いちいち書いてたらキリがないから省くけど、特にお気に入りは、ドン・キホーテの亡霊と化してた老人が、主人公に映り込んだ従者の姿を見て、従者が迎えに来たと思い込んで目覚める演出が最高!
現在と過去、理想と現実、事実と嘘、等々…リアルと虚構の(ように見える)世界観を行き来しながら、自分にとって本当に求めている物が何なのかを見出していく主人公を始めとした登場人物達の描写が凄く良かった!
そんな2つの世界を繋ぎつつ、世界観を曖昧なものにして異世界へと誘うキャラがいたのも、今作をファンタジー的であり、現実味を与えていたなあ。
あ