なつこ

テリー・ギリアムのドン・キホーテのなつこのレビュー・感想・評価

3.8
無茶苦茶です(笑)
でもしっかりとこだわった上での無茶苦茶だし、ここまで徹底的にぬかりなく無茶苦茶だと、ツッコミどころ探す余裕もなく巻き込まれてしまうパワーがある。
25年、諦めなかったテリー・ギリアムを思い切り抱きしめたい。

キャストも企画の時とはだいぶ変わったけど、結論、アダム・ドライバーで正解だよ!
めちゃめちゃ良かった!なんならカイロ・レンより良かった!

仕事に情熱を持てなくなったトビー。
いい加減な撮影、ロケでもスタッフに適当な指示を出すばかり。
そんな時、学生時代に映画を撮った街がロケ地の近くだったこと知り、懐かしみ訪れる。それは自分がかつて情熱を燃やしていた「良き過去」だったから。
しかし訪れてみると、撮影した街も人も変わってしまっていた。自分が映画製作をしたことが原因であり、街に残った人々には決して「良い過去」ではなかった。

中でもハビエルは自分をドン・キホーテと思い込んでしまっていて、再会した彼は完全にイッちゃってた。
最初はトビーもこいつやべえ!って逃げ出すけど、次第に彼を放っておけなくなるし、そんな彼のそばにいることで、トビーの中に色んな感情が湧き上がってくるし、変わっていく。
その過程がとても自然で心地好い。

画面は無茶苦茶だけど、妄想(幻覚?)と現実、過去と現在、それらがとても自然にバランスを取っていて、その感覚はさすがでした。

予告では訳分からん映画みたいに見えましたが、ちゃんと芯のあるストーリーでしたよ。

しかし最後…
これは笑ったらいいのか、怖いと思っていいのか、映画館を出てからもずっと考えてるけど、自分の中でさっぱり判断がつかない。
私がアンジェリカだったら、背筋に寒いものが走るけどね…
なつこ

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