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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

今まであまりパッとしなかったDC Extended Universe. 前作はDCっぽいどんより暗い作品で、スクワッドのメンバーもお行儀良くて悪人に見えず、期待を裏切るコレじゃない感でガッカリだった。

しかし今作は冒頭からスクワッドが死にまくり(しかもガーディアンズを思わせるマイケル・ルーカー!)、予想の裏をかきながらストーリーは展開。人体破壊描写もバリエーション豊かで、DCらしいダークさを纏いながらもとにかく派手。重犯罪者である彼らの危険性(幼少期のトラウマや病気でその危険性が育まれた説明も良かった)とジェームズ・ガンのB級的感性が響き合い、文句なしの大傑作になっていた。続編?ピースメーカーのスピンオフ?ガンがやってくれるなら見に行きたいし、DCはこの路線でやっていって欲しい。

ルックやトーンだけでなく、メタフォリカルなストーリー構造も超一級品。混乱を生み出しておきながら、我関せずと撤退命令がスクワッドに下されるあの場面は、今日におけるアフガニスタン撤退をめぐる状況と完全に重なって見える。歴史的にはニカラグア、エルサルバドル、ベネズエラ等、南米諸国において米国の介入は繰り返されてきたことだが、普段ふざけていたあの職員達のように、有事の際にはモップを手に取り上司を殴り倒すことができるのか。

最底辺にいて人に嫌われているネズミも、集まればカイジュウを倒すことができる。そうしたプロット展開もよく考えられていて、現実を跳躍させるファンタジックな視点が特に後半炸裂している。ジャベリンを持ったハーレーが巨大な瞳の中へと飛び込み、ネズミたちがその後に続くあの神秘的なシーンは、近年見た中でも最も美しいシーンの1つだった。(ポルカドットの巨大お母さんも泣けた)

ハーレクインが道を踏み外そうとしている男を容赦なく殺してくれるのもハーレクインらしくて良かった。踏み越えてはならない一線でどう踏み止まるか、はテーマになっているように思うが、それを”悪人”は現場で判断していく。一方で、その一線を平気で踏み越えた命令を下し、そもそもSuicide Missionを実行している国家権力が”真の悪”として”悪人”たちの前に立ち上がってくる...というのが本シリーズの物語構造なのだろう。
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