ドブネズミみたいに美しくなりたい♪
という某名曲が聞こえてきそうな負け犬スーパーヒーロー映画。本当の英雄の資質とは何か、をジェームズ・ガンが謳い上げる。
前作の続編にもリブートにも見え、悪いところが全部解消されていて、本当にこの題材を活かしきった傑作となっている。何だか使い捨てにされた前作のデビッド・エアー監督の弔い合戦にも見えてくる。そしてジェームズ・ガンは映画作るの上手すぎることを証明した。
社会の底辺に住むクズばっかり集め使い捨て決死部隊を結成して、反米主義の独裁国家に送り込め❗っていうアメリカの覇権主義を皮肉りまくってる物語。
60~70年代の戦争映画や犯罪者映画からB級SF怪獣映画まで、色んなジャンルがごった煮になって混ざりあってゲロみたいに吐き散らかしたのに、奇跡のように美しいテイストの映画となっている。
展開を絶対に読まさない工夫が凝らされ、最後まで生き残るかと思っていたキャラクターがどんどん死んで、役に立たなさそうな奴らほど大活躍する。クズと思ってたキャラにはそれなりの仁義があり、考え方と見方の違いで正義にも悪にも見えるのが現代の二極化に対するガンなりのアンサーに感じる。
実はアメリカの外交政策を堂々と批判しているしグロ汚すぎたのでコロナ禍でなくても、それ程ヒットしたかっただろうと思う。映画版ウォッチメンとかもそうだけど堂々とアメリカ批判するとヒットしない。ダークナイトやボーンみたいに悩めるヒーローとしてアメリカの暗部と上手く付き合った作風でない限り、大体コケてる印象。そこら辺を死ぬほど上手くやるのがMCUだと思う。しかしDCはジョーカーなどと同じ、この大人向け路線を突き進んで欲しい。ディズニーには絶対に作れない狂気の作家性を打ち出す作品を大事にして欲しい。
ラストにドブネズミが大活躍するのは、一度はクビにされたディズニーへの何らかのメッセージにも思える。品行方正でもなんでもない底辺の生物でもスーパーヒーローになれることを証明するためにガンは自分の作家性の全てを乗せて表現した。どんなに汚いものを映しても最後には必ず最高に美しいものを見せてくれるガン。
200億円かけてグロZ級映画の味わいを炸裂させて大ゴケするなんて、まさに決死部隊。大絶賛されて大借金を作るとはドブネズミの鑑である。
試合に負けて勝負に勝つ男ガン。
この後に現れるガーディアンズVol.3がどんな輝きを放つのか楽しみが過ぎる。
しかし、まずは「ピースメイカー」のドラマを楽しみにしていよう。シュワルツネッガーの後継者になれるかもしれない彼に凄い期待している。