地球外生命体

世界で一番ゴッホを描いた男の地球外生命体のレビュー・感想・評価

4.0
いつになったらあなたに近づけるだろう-
20年にわたりゴッホの複製画を描き続け、本物の絵画を見たいと夢み、ゴッホに人生を捧げる男の姿を追った感動のドキュメンタリー。

20年間で10万点以上の複製画を描いた男が物語の主人公。1996年に出稼ぎで大芬にやって来た湖南省出身のチャオ・シャオヨンは、この街で初めてゴッホの絵画と出会う。以来20年もの間、独学で磨いた技術を武器に、毎月600〜700枚、累計すると10万点以上を家族と共に描き、作品を全世界へ輸出している。

複製画家は職人か、それとも芸術家か。絵を描くのも、寝るのも、食事をするのも工房の中。ゴッホと共に生きる者としての複製画へのこだわりとプライドと溢れる畏敬の念から、「自分はゴッホの複製画制作に命を懸ける職人なのか?あるいは、ゴッホの生き様を今に蘇らせるアーティストなのか?」という葛藤を抱く。

深圳市大芬(ダーフェン)。世界最大の「油画村」として知られ、最近では観光地としても有名なこの街には約1万人の画工がいると言われている。街全体が複製画制作という極めてユニークで特異な世界。本作は複製画制作過程にも迫り、衣食住が一体となった工房で画工たちが壁に向かいながら次々と画を描きあげていくその生活を垣間見られる。

後期印象派を代表する画家でありながら生前は不遇な人生を送ったといっても過言ではありません。自分の命を削りながら一筆、一筆をキャンパスに自身をぶつけ、芸術に人生を捧げて芸術の高みを目指したゴッホ。そんなゴッホに魅せられた男が中国にいました。20年にわたりゴッホの複製画を描き続け、本物の絵画を見たいと夢み、ゴッホに人生を捧げる男の姿を追った感動のドキュメンタリー。

2016年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭ワールド・プレミア後、多くの映画祭で上映され、2017年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭では監督賞を受賞(「中国のゴッホ」)。またNHK「BS世界のドキュメンタリー」では『中国のゴッホ 本物への旅』として短縮版が放映され反響を呼んだ。

複製画制作で世界の半分以上のシェアを誇る油絵の街、中国大芬(ダーフェン)。出稼ぎでこの街にやって来た趙小勇(チャオ・シャオヨン)は独学で油絵を学び、20年もの間ゴッホの複製画を描き続けている。絵を描くのも食事も寝るのも全て工房の中。いつしか趙小勇はゴッホ美術館へ行くという夢ができた。本物の絵画からゴッホの心に触れて何か気づきを得たい、今後の人生の目標を明確にしたいという思いと共に。どうしても本物のゴッホの絵画を見たいという想いは日増しに募り、ついに夢を叶えるためにアムステルダムを訪れる。本物のゴッホの絵画を見て衝撃を受けた趙小勇はいつしか、自分の人生をゴッホの生き様に写し合わせ、何をすべきか自分を見つめ直すようになる。果たして自分は職人か芸術家か。思い悩んだ趙小勇はある決断をする。

売れるか、評価されるか、は別として、20年やってきたゴッホの複製画より、帰国後初めて描いたオリジナルのものの方が断然いい。

★2017年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭
監督賞【国際長編部門】
★2018年モスクワ国際映画祭
NETPAC Award
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