2009/5/11鑑賞(鑑賞メーターより転載)
チャップリンが出演せず、またコメディ要素を排して徹底したシリアスなドラマとして仕上げた作品。観客に納得させるため冒頭に「チャップリンは出演していない」と但し書きが出るのが特徴的である。確かに、悲しいまでの男女のすれ違い&決して平穏無事とはいかなかったその展開は、今全作品を振り返ってみれば違和感はないまでも、笑いを期待した観客から見れば驚きだったろう。しかしその心理描写はサイレントながら非常に的確かつ精緻で、雄弁なトーキーよりも伝わるし想像もかきたてられる。彼の監督としての才能が垣間見える佳作。