昭和の香り漂う音楽ライター

陽のあたる坂道の昭和の香り漂う音楽ライターのレビュー・感想・評価

陽のあたる坂道(1958年製作の映画)
5.0
#190 田坂具隆大会
ブルジョア家庭をめぐる、正直なところ、あたしたち庶民にはどうでもよい話を、3時間半も見せられて、なぜ、一瞬たりと飽きず、最後まできちんと鑑賞できるのだろう。
今回で2~3回目の鑑賞だが、まったく飽きない。
この中のキャラをめぐる出来事の、どこかが、あたしたちのどこかに、必ず引っかかってくる。
つまり、この映画の田代家は、人類の縮図になっている。
「血縁でない家族」の困難と再生を描かせて、ぐりゅうさんほどの映画作家は、いない。
隆慶一郎のシナリオは、ほとんど原作まんまだが、捨てるべきところを実にうまく処理しており、「長編小説のシナリオ化」のお手本だと思う。
さすがに、後年、「吉原御免状」だけのことはある。