台詞少なめ。無表情な人々。独特な間。シュールなコントを見ているよう。シリアのアレッポからフィンランドへ。難民。ストレートフラッシュ。タメ口から敬語へ…殴り合いから面談の流れが好き。ウェットになりそうな場面をあっさりと描き続ける。起こっている事態の深刻さをあまり感じさせない。トイレの表記はMとN。アボカドでありますようにと願いたくなるワサビの量。静かに帰る客の背中。「竹田の子守唄」を流す監督のセンス。ようやく笑顔。犬の名前はコイスティネン…同監督『街のあかり』の主人公と同じ名前。劇的なドラマは起きないけれど、人の優しさが沁みる一作。良い人ばかりではないのが嘘くさくなくていい。そっと励まされるような気持ちになった。
