御殿場のとらや工房で行われた「移動映画館キノ・イグルー秋のシネマナイト」にて鑑賞。
無機質なようで暖かみのあるどこか懐かしい雰囲気や淡々とした独特の間合いが個性的と感じたアキ・カウリスマキ監督作品。
主人公の境遇や不条理な世の中のやり切れなさや絶望感、差別、人の憎悪に悲しいと思うのと、
その反対に差別なく人に無償で優しい行いができる人達がいて心が救われる。
無表情で一見怖かったり、やさぐれ感あったり真面目じゃなかったり世間一般的に見るとどことなく敬遠したくなる登場人物ばかりなのに、スマートに人に優しくてユーモアがあって愛くるしいキャラクターで気持ちがホッと暖かくなったり泣けたりする。
妹を連れてきてくれた運転手の言葉も素敵だった。
見返りなく人に優しくする事、良い意味で気にしすぎず考えすぎない心の寛容さは相手にとっても自分にとっても良い作用を生み出すのだろうと観ていて思った。
ラストシーンの煙草を吸う主人公の表情が今も心に残る。
強く訴えかけるわけではないのに、静かな怒りと強さを感じる。それが痛く伝わってきて心の奥底に刻みこまれた気がした。
印象深い映画だった。
#キノ・イグルー
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