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希望のかなたのYOUMEのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.7
なかなかヘビーな内容なのに、とても淡々と、たまにシュールなユーモアも交えて物語が進んでいくので、落ち着いた気持ちで観れた。

国レベルでは対応できないことでも、個人レベルでは救いの手を差し伸べることができる。そんなことを実感できる映画でした。システムの隙間で、個人同士で助け合って生きていきたいし、救いの手を差し伸べられる自分でありたいと思った。生きていると、世界の冷たさに打ちひしがれることもあれば、他人が持つ信じられないほどの優しさに出会うこともある。

夫婦の別れ、通らない難民申請、ネオナチからの暴行、給与の未払い、新たなビジネスのスタート、妹との再会。ドラマチックに描こうとすればいくらでもできそうな要素に溢れているんだけど、そのどれもがドラマチックすぎず、登場人物はほとんどみんなポーカーフェイス。そうした意図はどうしてだったんだろう。

寿司屋のくだりは一番面白かったし、人間の愛らしさが詰まっててよかった。あんなに爪の甘いビジネスは日本ではなかなかお目にかかれないんだけど、海外だと意外とああいう店が多くて、そんな店を見かけると不思議とほっこりした気持ちになるんだよな。愚かさこそが愛おしさなのだ、やっぱり。

2023/037
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