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希望のかなたのmatsukawaのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
5.0
相変わらず、どの一瞬を切り取っても見間違えようのないカウリスマキ。安定の面白さ。

乏しい表情、言葉足らずな台詞、単刀直入な行動。カウリスマキ作品のこれらの特徴は「人の本質は、言葉や表情ではなく行動に現れる」という人間観に基づくものだと思うのです。
だからこそ、カウリスマキを観ると、地に足がついたような、頼もしい気持ちになる。

前作と同様、移民にまつわる話だけど、前作より遥かに深刻度が増している。
「人間性」対「不寛容」の戦い。「不寛容」が優勢なのは、日本も欧州も同様なのでしょう。
いつも通りのとぼけたユーモアの中にも、危機感が見え隠れしているような気がします。
そんな、ハッピーエンドとは言えない今作でも、相変わらず(ここ重要)人間性を揺るぎなく信頼してくれている。
頼もしい味方です。
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