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愛がなんだのmatsukawaのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
5.0
「何故だろう私は未だに田中守の恋人ではない」から「何故だろう私は未だに田中守ではない」へ至る物語。
何かが変化したというよりも、気付いて諦めて開き直る、要するに「腹をくくった」ということ。
まさに「愛ってなんだよ、愛が何だってんだよ」である。
強いな、テルコ。

まあでも、実際はそんなに簡単に全て割り切れるはずもなく。
ラストは驚くし清々しくもあるけど、同時に諦めやら寂しさやら、複雑な思いもしっかりと滲ませる。
そういう複雑さを丁寧に掬い上げる描写が全篇に貫かれていて、本当に本当に素晴らしい。
「痛いオンナあるある」みたいな安い面白に飛びつかないところも信頼できる。

テルコ、守、葉子、仲原、それぞれ違う軸で生きていた4人が、(安易に「一つの正解」に収斂することなく)多少変わりながらも結局違うまま生きて行くのも、ちゃんと現実を投影していて、いい感じ。

改めて岸井ゆきのの演技力は只者ではないし、成田凌もこんなに上手い人だとは知らなかったのでびっくり。二人とも、「一人の人間の複数の側面」を本当に自然に魅力的に演じていて凄いです。

「恋愛なんて知るか。あるのは執着だけじゃボケ」という精神、すごく好き。元気が出ます。
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