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悪女/AKUJOのvanのレビュー・感想・評価

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)
4.0
キレッキレのアクション!
スタイリッシュなカメラワーク!
どうやって制作したのか、首を傾げる撮影!
考えただけで最高だろうと思える、アクションアイデア!

主にアクションの内容にて、どの要素も最高に決まっている好印象の作品でした!


【事のあらまし】
スクヒは犯罪組織のアジトに乗り込みます。
一人で組織を壊滅させた後、警官に取り押さえられます。
国家が秘密裏に運営する暗殺者養成施設へと移されます。
やがてスクヒの意外な過去が明かされ、彼女の未来について物語は大きく動くのでした……。


気になった点から述べます。


敵味方の対立構造や、物語の目的が少し解り辛いな、と感じました。
見せ方自体は文句なしです。
また目先のターゲットもわかりやすいです。
全貌を明瞭に掴めていないせいか、敵の思惑や狙いについてピンと感じませんでした。
物語が収斂するポイントが朧に感じたのが、少し残念でした。


冒頭の一人称視点のアクション。
できればここも、三人称視点で観たかった!
細い廊下で始まって、いきなりアクションが発生します。
一人称視点を導入することにより、物語の没入感が高まります。
迫力はあるんですけど、主人公の動きや捌きが見れないのは、やっぱり残念ですね。
細い通路で横視点から撮れない、という制約があったのかもしれません。
階段から飛び降りるシーンや、アクション自体が迫力あっただけに、観たいという欲求が募りました。

ただし一人称のアクション部は3分程度です。
その後はアクションは続きますが、しっかり多視点に戻るので安心です。


気になった部分は以上です。
それ以外は、とても良かったです!


まず、アクションの出来が良い!
主人公がとにかく良く動く!
カメラも負けじと動き回る!
流血表現も多く容赦もない!

主人公役を演じたキム・オクビン氏は、テコンドーの黒帯を持ってるみたいですね。
実際に大半のシーンを自身で演じられたとか。
そして容姿やスタイルが、なにより麗しい!
美しい動きによる連続したアクションから、止まって画が決まるその瞬間まで美しい!


役者の美しさを最大限に引き出す、ポーズやショットがこれまた凄い!
冒頭部でのボスを倒す時の、中から外に出る時の迫力!
その後の着地のカッコよさ!
極めつけは誰もが息をのむであろう、花嫁衣裳でのあのシーン!
徐々にカメラが引いて一枚の画になった時の、麗しさと迫力たるや!
その後の、顔を上げて画面に映る横顔の美しさ!
どの部分も最高に決まっていました!


アクションが凄いのは良く解りました。
だけど、それをどうやって撮ったのか。

冒頭のアクションでは、一人称視点にしてはブレ過ぎていないんですよね。適度にブレて臨場感を保ちながらも、映像として決して観づらくなっていないんですね。

また、走行中のバイク上で日本刀を振るアクションシーンがあります。
アクションに対して、ありえないようなカメラの動きを見せるから面白い!
しかも結構な長廻しです。

終盤に主人公と敵が取っ組み合って、内から外に出るシーンの迫力!
その後のアクションは興奮必死です!


さらにアクションのアイデアが豊富!
前述した、バイク上での日本刀のバトルもそうです。
そして終盤でバスを追いかける、あのアイデアと表現!
嬉しくなって笑いました!
詳しくは書かないので、ぜひ見ていただきたい場面です!


冒頭で題名が入る直前と、物語最後の構図がほぼ同じ。
その後のスクヒの表情には、想像を掻き立てられます。

韓国作品の多くは、姿勢が徹底的なのがとても好きです。映画の目的に対して、決して観客にヌルくありません。

今回も鮮烈な印象をぶつけられた、とても心に残る作品でした!
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