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アランフエスの麗しき日々のotomのレビュー・感想・評価

アランフエスの麗しき日々(2016年製作の映画)
4.8
未だに攻めてるヴェンダース。徐々に世界から失われつつある『Perfect Day』からなんて粋じゃないか。夏の記憶と人の精神を掘り下げるのはタイプライターでもiPadでもどっちでも良いし、映画的なアクションや事件がなくても表現したい意識のところだけにフォーカスする徹底さで、弘法筆を選ばずのレベル。なんだけども作者の具現化の設定で、一見退屈な会話劇と思いきや、縦横無尽のカメラワーク、ニック・ケイヴ、詩的な言い回し、一度として同じ光を発さない自然とでかなり濃密な演出になっている熟練度。こんな風景を映像の中だけでしか見る事ができなくなる瀬戸際に来ているってのが、ヒートアイランドの真っ只中だとそのヤバさがまた分かる気がする。ペーター・ハントケは庭師役らしい。
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