抹茶マラカス

累 かさねの抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
3.4
魔法の口紅をつけてキスすれば、2人の顔は入れ替わる。結構なトンデモ設定を開始10分ぐらいでぶちこんでおく事によって、そのからくりの正当性とかはどうでも良くなる非常に剛腕だけど上手いつくり。そうして入れ替わってやることが演劇であり、外側は土屋太鳳だけど中身は芳根京子でないと認められないことに両者が葛藤を抱えるわけだ。『無職転生』の一期に見られたような自己が解体されてあるアイデンティティに取り込まれていくような感覚を期待できる展開にワクワクした。ところが繰り広げられたのは、あまりにも演技的にも魅力のない演出家関ジャニ横山を巡る恋の鞘当てであり、どんどんと興味を削がれていく。土屋太鳳と芳根京子は素晴らしいだけに本当にここはどうにかして欲しかった。
結局この入れ替わり劇を通して土屋太鳳も芳根京子も何某かに魅入られるというよりも浅野忠信に言いくるめられてる感にしか見えず、そこに反旗を翻すような姿勢すら見えないのも正直くだらないし、親子論や演劇を通した自己についてなど、雑に触れて扱う気もない感じ。