土屋太鳳の感じ悪さも、芳根京子の根暗そうな立ち居振る舞いも、いずれも抜群で以てそれぞれが演じるキャラクターについても非常に魅力的にしていますし。
彼女たちが入れ替わった場面に於いてもどちらがどちらか一目瞭然、観客を混乱させないよう演出されてもおりますし。
果たして、物語に集中出来る作り、で以て。
後にその理由が判明するにしてもそのトリッキーな配役と相俟って、前半は、或るキャラクターの妙に芝居がかった台詞の言い回しと仕草に違和感を覚えるものの。
新進気鋭の演出家と女優の色恋沙汰の展開がまるでAVからの引用みたいに陳腐に思えるものの。
しかしそれらが霞んで気にならなくなるくらいに物語としての面白さが桁違い、純文学ホラーと文芸エロスとが同時に成立した即ち下世話な怪談として、これはもう控え目に言っても大傑作なんじゃないかしら、と。