カカオ

人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊のカカオのレビュー・感想・評価

3.3
この手の作品は敬遠していたが、気持ちの変化か気まぐれか鑑賞する決意に。本作品は決して戦争を鼓舞する作品ではない。戦争の愚かさを表現するとともに、愚かな兵器が作られた事実の出来事を広く知らしめる貴重な作品だ。

小型の潜水艦のような魚雷を自ら操作して敵の戦艦に突撃する回天。脱出する方法が無く、人の命の尊さを馬鹿にしたような兵器だ。追い込まれた末に発案された悲しい兵器だ。

それでも訓練に励む若い面々は皆がお国のため、必死に頑張っている姿が悲しくなってくる。

出征前に帰郷を許され、家族と団欒する姿が良かった。気迫溢れる元気な青年も両親に対して礼儀が正しい。母親に盃を交わすワガママや、仲間の家族へ挨拶する場面に、近況を報告して亡くなったことを伝えることができず思わず涙をこぼすところが印象的だ。

松方弘樹のギラギラした眼差し。熱い思いが伝わり好印象でした。

志村喬はホッコリさせられる。不思議な暖かみがある役者だ。

若き富司純子が美しい。

ある程度、年齢を重ねないと戦争の愚かさが伝わらないかもしれない。

若い世代が観れば、弱音を吐くとお叱りを受ける場面に強い衝撃を受け、戦争を美化する作品と勘違いしてしまうかもしれないと思った。
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