ゆき

桜桃の味のゆきのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
3.8
最後の手助け

遠回りも悪くないと教えてくれる一作。
終始無音で、ささやかな会話と日常の景色が繰り返される。
表情の変化が乏しい主人公。ただ、意思は固い。
彼は、翌朝6時に自分の様子を確認してくれる相手を探していただけなのである。
人の言葉に耳を傾けているようで、自分のお願いを切り出すタイミングを伺っているだけの男。
しかし、一人の老人が穏やかな口調で伝えた言葉だけは違った。
特段の事件はない。それでも見入ってしまう98分でした。
人生を色付けるのは何気ない何かなんだと思う。
ラストの制作シーンが本編とのギャップを見せつけているようで、現実に戻してくれた気がする。

×××
車を走らせながら、行き交う人に声をかける男。報酬を与える代わりに、自殺を手伝ってくれる人を探していた。次々と依頼を持ち掛けるが、断られてしまう。
ゆき

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