たいが

桜桃の味のたいがのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
3.8
車で街中を走り回る男、どうやら自分の自殺を手伝ってくれる人を探しているらしい
どういう基準があるのか分からないが、人を選んでは呼び止めて
「明日の朝6時に丘の上にある穴に来て自分の名前を呼び、答えが無ければ埋めてくれ」と言う
しかもそれがうまくいってもいかなくても大金をあげると、、、

もし本当に人生に絶望し、死のうとしているならもっと素直に死ぬはずだ
こんな人に頼んで回りくどいやり方をとらなくても死に方はいくらでもある
そう思った時、この男は本当に死にたいのではないと分かった

兵士の少年や神学生の青年、そして老人と次々に車に招き入れて話をしていく様からなにか人生におけるきらめきをどうにかして見つけ出しそうとしているようにも見えた

そしてとうとう最後に乗せた老人は男の頼みを聞き入れる
そして老人は男に人生について語り始める、、、

ここからが良かった!
今まで車はひたすら殺風景な道を走っていたのだが、老人がこっちの道の方が景色が綺麗だからと案内すると一気に緑が現れ画面が鮮やかになる
見方を変えれば、感じ方を変えれば、人生は素晴らしいものに変わるという老人の話とリンクするように、道を変えただけで景色は一変する

それに呼応するように男も次第に考えを改めはじめ、ついには老人に朝問いかけに反応しなくても肩を揺すって起こしてくれとまで言う
結末はしっかりと描かれていないが、どうなったかは明白だろう

ほとんどのシーンが車内での会話でかなり動きも少ないが、その分とても味わい深い作品だった
たいが

たいが