コマミー

ニア・ダーク/月夜の出来事のコマミーのレビュー・感想・評価

4.3
[月夜の出来事とあの音楽…]

キャスリン・ビグローと言えば、今の人は「ハート・ロッカー」とか、「デトロイト」と答えるだろう。キアヌが出ていたアクション映画や、ショーン・ペンが出ていたサスペンス映画など、「ハート・ロッカー」よりも前の作品については、知っている人が少ない。そして、監督デビュー作については、特に。

ウィレム・デフォーが主演を務めた「ラブレス」が監督デビューだと思っている人がいるが、単独ではこの作品がデビュー作。常に、男臭い作品を作る事が多いキャスリンさんだが、デビュー作はカルト的で、尚且つ、男臭い。
吸血鬼の周到さを描いていて且つ、吸血鬼の常識をある意味では、覆した作品と言える。まぁ、それは最後のシーンで明らかになる。

タンジェリン・ドリームというロックバンドの音楽が、物語に更なる闇を与える。自分は、それがあの、「メッセージ」のヨハン・ヨハンソンの音楽の形の原点のようにも見える。あれは、恐ろしかった…。あくまで、そう思っただけですけど…。だけど、噛まれた瞬間、そして吸血鬼の家族から逃げまとうシーンで、徐々にジワジワと音楽が、地獄の門へと誘い込む…。これは、恐怖でしかない。

確かにカルト作かも知れない。だが、平成生まれの僕でも、音楽と演出で、充分にその世界に入り込める。今にも通じる作品なのではないかと思いました。

観たあとでも、あの終盤のシーンが頭をよぎります…。
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