MikiMickle

クワイエット・プレイスのMikiMickleのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
3.4
アメリカの片田舎で生き延びたとある家族。彼らは常に音を潜め、会話手段は手話で、ひっそりと生きてきた。
しかし、物資調達の帰り道、聴覚障害のある長女の起こしたある些細な行動によってある悲しい出来事が起こる………

それから一年後……
一家は4人で未だに音をたてずに暮らしていた。
様々な試行錯誤を凝らして、必死に生きている。
そんな中、両親が懐妊。お腹には子供が……
それは否が応でも鳴き声で奴らをおびき寄せてしまう……

一家がそれをどうやり抜けるのかが楽しみでしかたなかった。


地球外知的生命体の超人的なすばやさや破壊力や殺傷能力(ま、人じゃないけどもw)は、シーンと静まった空気の中で恐怖が更に冗長される。怖い怖い‼(笑)
グロさではなく、静と動の極端なコントラスト・最低限の安心であるはずの家とそれを侵食する異様な姿のコントラストに恐ろしさを感じる。

そして、話はもちろんそれだけではなく…
一家を守り長女の耳を聴こえるものにしようと試行錯誤する父に対して、深い自責の念と自分のその障害によって複雑に歪み反抗する長女。2人の間のわだかまり……

そこがむしろメインであった。
極限状態における“家族”に常にある死の恐怖と共に、ミニマムな集合体である家庭内における複雑な人間関係と成長と愛を感じる映画だった。
単純な家族愛だけではない所がこの映画の質を高めていて、最後まで気が抜けない。

母役のエミリー・ブラントと、監督・脚本・製作者であり父役のジョン・クラシンスキーが実際の夫婦である事も、この映画の緊迫感とリアルな愛情を感じさせるポイントであると思う。エミリー・ブラントの迫真の演技が素晴らしい。怒涛の様に襲う様々な襲撃やアクシデントに対し、母として、妻として、臨月の妊婦として必死になる姿に、握った手が汗ばむ。
また、臆病な弟マーカスのキュートさと立派な成長もさる事ながら、長女リーガンへのイラつき度が半端なかった‼(笑)
ガンバレルーヤのよしこ にそっくりで、そればっかり考えてしまったのだけど😂、実にイライラさせられるほど、真に迫っていた。演じたミリセント・シモンズは今作が映画初出演で、実際に聴覚障害があるとの事。今後、期待したい女優。

ホラー映画としても楽しかったし、そんな状況での生きていく知恵も深く練られたであろう脚本の深みがあって良かったし、それなのにツッコミどころもあってニヤッとさせられたし(笑)、ウルっと何度かさせられたし、緊迫感のある映画でした‼
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