ぢん子

ある女流作家の罪と罰のぢん子のレビュー・感想・評価

ある女流作家の罪と罰(2018年製作の映画)
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私が選ぶN.Y.が舞台の作品、内容がかなり犯罪寄りなんだな、と思った。

日本で未公開というのが、握り拳をフルフルさせてしまう良き作品だった。
リーの「上手く行くはずだった」人生は、他の同業者が自分から搾取したと思ってるような嫉妬、過去の人になってる事にあらがって縛っているのは、自分自身なのに、今の自分が見えていない。
孤独なのも話すのが家の猫だけなのも、相棒になったジャックと心打ち解けるのが早いのは、孤独さ故、人との距離感の感覚がバグって分からなくなってるのと、お酒なんだと思った。
傷付きたくないから、自分の心を閉ざした結果。
それをメリッサさんが丁寧に演じていた。
SNLの政治家のマネをする人と同一人物とは思えなかった。素晴らしかった。

ジャック、リチャードさん、どこに住んでるか分からないけど、多分転々としてるんだろうけど、お洒落で品がある。けど、胡散臭い。適当。自分勝手。
彼も彼で、孤独。

孤独同士、お酒片手に悪態つくのが好きな者同士、ビジネスパートナー。

SNLの初期メンバーの女性が出てきて、何とも言えない気持ちになった。

「貴方と居ると疲れるのよ」
と覚悟決めて会った人にも、突き放されるリー。

傷付くこと、人を沢山傷つけてきた事で見えてきたこと。
リーが「創造していた物」は、リーの「物」ではない。けど、リーが「創造した物」に価値がついたのも事実。本物以上のリーの創造物。
ラストシーン良かった。

N.Y.の街の雰囲気、夕方から空いているバー、カフェなのかダイナーなのか、昔からそこにあるダラダラと居られるコーヒーを飲む場所、マンション?何という名詞か知らない建物、誰も彼も、部屋の中が堪らない。
キャラクターが出る場所だけど、カウチ、鏡、テーブル、寝室、本棚、何より机。
ハエが飛ぶのはいかんけど、インテリア(特に本棚と机とタイプライター)が堪らなかった。
あのトラビスの部屋までも好き。
N.Y.マジックにかかってる。

メリッサさん、リチャードさん、素晴らしかった。
「13の理由」の男の子が(という歳でもないと思うけど)出てきたのも嬉しかった。
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