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四月の永い夢のodyssのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
2.5
【脚本が、最後で・・・】

この監督の映画を見るのは初めてです。脚本も監督が書いているとか。

途中までは悪くないと思いながら見ていました。
主演の朝倉あきさんがキレイだし。
彼女の周辺に現れる三浦貴大さんや川崎ゆり子さんもそれなりだし。
舞台となっている国立(くにたち)の街の様子も面白いし。

ただ、この監督は筋書きを入念に構築するタイプの人じゃないみたい。
映像のイメージが優先している。

それはまあ、それでいいんですけどね。
ただ、最後になってヒロインが故人となった恋人の実家(東京から遠く離れた町にある)を訪ねていくでしょう。
あそこが、脚本から見てよく分からない。しかも、そこで筋書き上の重要な事実が初めて明かされるんですよね。

ヒロインと恋人との関係が、それによって観客に分かってくるのかというと、そうではない。
逆に謎が深まるのです。
例えば手紙。ヒロインと恋人は遠距離恋愛だったのか? 或いは、近くに住んでいても手紙をやりとりする関係だったのか? 
そういう大事なことが(それだけじゃないんですけど)分からない。

筋書きの細部が分からなくてもいい映画はあります。
この映画も途中まではそういう作りなのかなと私は思っていた。
ところが最後のヒロインの旅で、その辺の整合性が失われてしまった。
最後で重要な事実を明かす以上、それに対応して筋書きの肝心のところが分かるようにしないといけないのに、監督はその逆をやった。

イメージ優先の監督だからでしょう。
脚本が練れていなかった。
というより、練らなくていい映画のはずだったのに、最後に来て失敗をして、練らなきゃダメな映画にして、しかも練らないままに放置してしまった。

惜しかった、そう言いたくなる映画でした。
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