冒頭の、桜舞う中で喪服で1人佇む姿とモノローグがあまりに美しく心奪われる最高のツカミ。
映像は明るく優しい。しかし、人生で最も華やかであるはずの時期に、三年の季節が移り変わりながらも、彼を亡くした時の春の日差しの中に囚われたままで動けずにいるという、なんとも殊勝な彼女に気持ちがシンクロし、ところどころで切ない気持ちに襲われる。
立ち止まる彼女が主役なのだから、場面展開はゆっくりめではあるが、極上の90分といったところで、ハマる人はハマりまくると思う。
何より、恋愛だけでなく、何かにつまづいて悩んで動けない人にとっては、優しい気持ちになり、自分への応援のようにも感じられる映画だと思うので、ぜひ観てみてほしい。