Jun潤

トップガン マーヴェリックのJun潤のレビュー・感想・評価

4.0
2022.05.27

公開延期を繰り返し、劇場予告で何度も映像を見ていたので、どうしても気になってしまい、このために前作も視聴した上で鑑賞です。

1986年に公開された一作目では、若きパイレットだったマーベリックが訓練学校“トップガン”で自らの技術を磨きながら、仲間との友情や運命の人との恋、人間的な成長が描かれていました。
36年の時を超え、マーベリックがスクリーンに帰ってくる。
続編制作を熱望する声がありながら、トム・クルーズの熱い要望と、彼が続編制作権を買い取ったことで長年制作されなかった続編。
現代にまた吹き荒れるトップガン旋風を浴びないわけにはいきませんなぁ!

トップ1%のパイロットをさらに教育するための訓練学校、通称“トップガン”。
かつて在籍し、今や伝説と称されているパイロット、ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル大佐。
彼はトップガン卒業後も相変わらず命令を聞かない性格で、配属先でトラブルを起こしては異動してを繰り返し、数々の戦績にも関わらず階級は大佐止まり、現在は有人機体でマッハ10の記録を成功しようとする「ダークスター」のテストパイロットとなっていた。
実験が上手くいかず計画自体が凍結しようとしていた時、周囲の警告を無視してマーベリックが搭乗、見事マッハ10を記録するが、その後も速度を上げ続けついに機体は大破する。
辛くも生還したマーベリックだったが、実験を視察していたハンマー少将からトップガンに教官として赴任することを命じられる。
懐かしき学び舎に帰ってきたマーベリックは、基地の近くでバーを経営している旧知の仲のペニーと再会する。
バーにてとある極秘任務のために集められた若きエースパイリットたちと邂逅。
エースたちの中には、かつての相棒・グースの息子であるルースターもいた。
極秘任務の内容は、3週間後に稼働するウラン核燃料工場の破壊。
難攻不落、天然の要塞たる深い谷や高い山々を越え、レーダーやミサイル、敵機の迎撃や追撃を避けて任務を遂行するためには、空へ飛び立ってもミサイルを撃つのみになった若きパイロットたちに空中戦の技術を叩き込む他無い。
マーベリックはエースたちの力をさらに高めるために呼ばれたのだった。
歳を経たマーベリックの前に待つのは、病床に臥すかつてのライバルとの別れ、相棒の遺児との確執、再燃するかつての恋、自身の人生の精算だった。

トム・クルーズ最高ー!
今作は『トップガン』であり、『マーヴェリック』だった。
かつてマーベリックが在籍していた頃と同じように、切磋琢磨し互いに高め合っていく若きエースパイロットたち、任務のため、自分のために生きてきたマーベリックが次の世代に残すもの、空を飛び、空しか知らず、空でしか生きられないマーベリックの人生の行き先。
『トップガン』らしい青春ドラマであり、最新の技術や昨今の世情を含めたメカニカル・フライング・アクションであり、『マーヴェリック』という1人の人間のカッコよさをこれでもかと詰め込んだ作品。

初っ端出てきたトム・クルーズには前作に溢れていた若々しさは微塵もなく、溢れているのは鍛錬し熟成された大人の男の色気とカッコよさ。
熟練のマーベリックの天才的な操縦技術にも磨きがかかっており、無理だと思われていたマッハ10を成功させてしまうほどの技術、を手に汗握らせず心臓を下から突き上げるようなトム・クルーズの仕上がりっぷり。
マッハ10を超えてなおさらなる速さを求める危なっかしい不安定さも内包するマーベリックというキャラクターとピッタリ合致していました。

若きエースパイロット勢もまた魅力に溢れていました。
かつてのマーベリックとアイスマンのようにライバルとして競い合い、絆を深め、本当の相棒となっていく様に加え、今作では変遷した空中戦の実情の中で、あえて過去の技術に頼らなければならないことへの困惑や、自分の父の死に関わる人との関わり方など、価値観が多様化した現代に合わせた作劇が成されていました。

前作の時点で既に完成されていましたが、今作では劇場の技術の向上に合わせた場面や描写もあり、途中からでもIMAXか4DXで体感させてくれ!と叫びたくなる人も少なくないはず。
ストーリー上のシチュエーション的に撮影が無理だったのかもしれませんが、操縦席の煽りカットは多いですが、役者陣の演技もあって観ている側にも振動が伝わってくるかのような仕上がりっぷり。

“トム・クルーズ”が演じる“マーヴェリック”だからこそ滾る肉体や精神の中にある不安定さ、自壊してしまいそうな危うげな佇まいの中にある確かな芯の強さがある。
「飛ばねえマーベリックはただのトム・クルーズだ」「男よ、これが漢だ。」
Jun潤

Jun潤