Rikako

金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストのRikakoのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

アナキズムや大正時代については、一瞬日本のダダイズムを勉強するときに軽く触れただけだったけど、その主義主張を体現して生きた人々の一部分でも映像として観れたのは嬉しかった。自分の信じる思想の強さ、それを求める植民地時代の挑戦の人々や抑圧された貧困な人々の思想の展開も分かりやすかった。

歴史 思想的背景を別としても、彼らの「何も行わなかった」ことを行なったとさせたい政府側、良心がある検事など、権力と国家、良心と利益とか、大きな問題も描かれていて見ていて正論だけで通らない、人間らしさがあってよかった。明らかに悪者に見える政府側も、国家を一番として考えた時に何を優先して行動するかという点では難しいと思うし。だれでも自分の保身に走るだろうし。あと、拘置所の刑務官が、とても人間らしかった。

既存の価値観が「当たり前」として存在してる強さって思うより強くて、例えばこの刑務官がその日本人エリートとして育った価値観でこの極悪朝鮮人として入ってきた2人から得た異なる思想は最初は最悪なものに見えたと思う。この2人を測る尺度は刑務官としてのものだから。でも2人の境遇、その思想の強さを次第に理解していって新しい価値観を、自分のものにしなくても受け入れるようになった所は、今のいろんな人に見習ってほしい所だなと思った。歴史や思想を勉強する意味はそこにあると思う。この刑務官が史実だとしても、違うかったとしても。

基本的に知識なくてもわかりやすい展開で、普通に面白かった!
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