つかれぐま

寝ても覚めてものつかれぐまのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
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<夢と現実>

英題(ASAKOⅠ&Ⅱ)が示す通り、女の二面性を「男側の二役」で表現する。巧みで難解な恋愛ホラー。

色んなものの対比が溢れていてそれを探すのも楽しい。
寝ても/覚めても
夢/現実
麦/亮平
大阪/東京
大阪の友人/東京の友人

共感できるかどうかを軸に映画を楽しむ人には全くお勧めできない。主人公の朝子はかなりダメな人で、「愛がなんだ」のテルコのほうがまともに見える。あの復興支援も、彼女の「自分探しの一環」に過ぎず、人の為にやっているという気概は感じられない。そこに亮平を付き合わせるのだから、もうなんというか亮平の生気に絡みつく(やたらと抱き着く)死のメタファーみたいな存在。こんな主人公でも、面白い映画になっているのが実に不思議だ。

本作を観て想像したのが、村上春樹と濱口監督の相性の良さ。本作は別の作家の原作によるものだが、なんとなく村上ワールド感があった。「ドライブマイカー」が楽しみ。