電気羊

ヴィクトリア女王 最期の秘密の電気羊のレビュー・感想・評価

3.9
俺の中では、ダニエル・クレイグ版007のM役として固定されているジュデヒ・デンチ主演作品。「また、殺したのね!」とボンドを叱責するシーンが好きだった。

ヴィクトリア女王と支配国インドの召使との交流を描いた女王陛下版「最強の二人」。
植民地化したインドから連れてこられた召使二人は、イケメンであったこともありヴィクトリア女王に気に入られ、口を利くことを許される。
ヴィクトリア女王は、臣下の誰にも告げたことがない人間としての苦悩や寂しさを、心優しいインド人召使のアヴトゥルにだけは告白できたのだった。

臣下たちはヴィクトリア女王の処遇に不満を唱えるが、女王は姪膝窩の身分から王室職員へと昇格させ、いつしか大切な友人へとなっていく。

だが、当時のインド情勢は、インド国民の反乱によりイギリス駐在員が多数殺されるという事態になっていた。しかもアヴトゥルはイスラム教徒であったため、イギリスカトリック教会からも二人の関係は反発を受けることに。
一時は、アヴトゥルに裏切られたという思いに駆られたヴィクトリア女王であったが、アブドゥルの言動は全て女王を守るためだったことにより思いを正す。
だが、そんな二人の関係に王宮貴族は黙っていなかった。インド人への人種差別を公にする彼らに対して、女王は激怒。アブドゥルへナイトの称号を授けると独断する。

王室職員はこれに反発。内っと称号を取り消さなければ、女王へ対して総辞職を申し出る。もはや完全決裂となった女王と王室貴族との間を取り持つべく、王子が交渉への場につく。
その条件とは、インド人へのナイト称号を取り消さなければ、女王を退位させるというものだった。
女王は、女王の尊厳により臣下である王室貴族と対峙し、自らの決定に従わない者は去れと厳命する。
その尊厳の前に貴族はひれ伏し、女王はナイト称号の代わりにアブドゥルに勲章を与える決定を認めさせるのであった。

ヴィクトリア女王崩御後、今わの際に呼ばれたのは血を分けた王子ではなくアヴトゥルだった。
そのことに因縁を持った王子により、アヴトゥル宅の女王に関する書物類は全て焼却処分され、アヴトゥルは国外追放。祖国インドへと戻っていくのであった。

恋愛や友情は、生まれも身分も関係ない、魂の共感なんだよ。
ヴィクトリア女王も、当初、年老いた老女のメイクからアブドゥルとの親交から徐々に活性化し、メイクも若返っていくのが素晴らしかった。
いくつになっても恋は、A10神経の活性化は。人間の生きる原動力になるんだ。
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