きよこ

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のきよこのレビュー・感想・評価

3.9
カラフルでポップなキャンディーのようなポスターに惹かれて鑑賞。まんまと裏切られ、あずみんさんと同じく「万引き家族」を観たあとのような感覚に陥ってしばらく思考停止する。皮肉たっぷりの題名だと知り、現実の厳しさと未来への希望が見えなくなる。

ウォレム・デフォーまじ最高。スパイダーマンの悪役の時からなんか好き。今作もいい人なのか悪役なのかずーっと気になって仕方なかった。管理人としての距離感が素晴らしかった。


映画はいたずら好きの子供たちとその母親の日々の生活を延々とみせる。ちょっとイラッと感じたり、母親の事を不可思議に思ったり。特にお風呂のシーンは好きだった。でも何度も繰り返されるシーンと音楽の意味を知って、正直唖然として深い悲しみと怒りがこみ上げていた。

子供は楽しいことをひたすら求める。この母親も楽しいことを求め続ける子供みたいな大人だ。子供にとっては、楽しいから母親が好きで仕方ない。だから真似してしまう。それがステータスでもあるのだ。

でも子供は知っている。親が出来ないのも甘いのも知っている。親の様子をしっかりと観てるんだ。だから母に対してわがままは言わない。世間に対して大人びて屁理屈を並べてみたり、生意気な口を聞いたりするけど。ムーニーは母親のヘイリーには一度も反抗しなかった。ふざけてみせて楽しいことを求め続ける事が一番幸せだと悟っているのだろう。

あの涙は嘘なく心を撃ち抜いてきた。そして、爽やかに疾走する結末は好みだった。母親の一人としては、ムーニー達の幸せを願うばかり。。。
きよこ

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