いで

スリー・ビルボードのいでのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.6
これから観る人は、娘が殺された母親が立てた看板が波紋を呼び起こすくらいの知識で予告編も見なくていいと思う。

登場人物はみんな自分に対する怒りや無力感を持て余してて、ともすれば行き過ぎてしまう。そして起こってる事ややってる事はやり切れない事ばかり。なのになぜかスゴく優しく感じる映画だった。

途中までは悪くはないけどなんでそんなに評判いいのかなくらいだった。でも途中の署長のある選択から思ってもみない転がり方をし始めて一気に引き込まれた。

署長がいい人過ぎるとか、あいつが急にそんな風に変わるかとかいう意見もあるとは思うけど、自分はあんまり気にならなかった。人は簡単には変わらないけど、資質があればきっかけひとつで大きく変わる事もあると思う。

様々な偏見や差別、見下し、暴力が蔓延しているが、そんな中でオレンジジュースのストローだったりハシゴだったりほんのちょっとの優しさがスゴく響いた。

あのラストはなんなんだろう。本当にびっくりした。その後の展開は想像するしかないけど、あの瞬間は本当に暖かかった。

どんなひどい事が起こっても、どんなバカな事をしでかしても、日々は続いていくし、ふとした瞬間にちょっとだけでも人の優しさに触れたり、ちょっとだけ笑えたりする事もあるんだと思う。
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