いで

ドライブ・マイ・カーのいでのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.6
さすが濱口監督。3時間あるけど映画的な大事件はほとんど起こらない。大きな出来事があってもかなりあっさりと過ぎる。にも関わらず全く飽きないどころかどんどん映画に引き込まれていく。

映画の物語と映画内での演劇や脚本とのリンクをこんなにも見事に配置できるものなのか。映画内で演じられる「ワーニャ伯父さん」は観た事がなかったし、しかもそれを複数の国の人たちがそれぞれ母国語や手話でやりとりするにも関わらず、こんなに伝わるものなのか。

特に終盤の韓国手話でのシーンはちゃんと手話である意味があって映画としても演劇としても素晴らしかった。稽古のシーンは濱口監督の演出法も垣間見えて面白い。

役者さんもみんな良かった。西島秀俊さんはもちろん、三浦透子さん、岡田将生さんが素晴らしかった。

三浦さんは「アイドル・イズ・デッド」や「私たちのハァハァ」などで存在感のある俳優さんだなとは思ってたけど、今回はさらによかった。なぜ人との距離感があんな感じなのかが、過去が明らかになるにつれ納得感が増すような演技だった。

2人の距離が徐々に縮まり、予告編にもある車のルーフを開けてタバコを吸うシーンの説得力やほとんどずっと同じ方向を向いていた2人が向き合うシーンは本当に印象的だった。

岡田さんは本当に自分をうまくコントロールできていない危うさがよく出ていた。そのアンバランスな中での車の中のシーンは本当によかった。

韓国手話の人の佇まいも通訳の人の柔らかさも演劇祭のプログラマーのロボット感もみんな良かった。

ラストも静かだけど、三浦透子さんの表情がよかったし、少し反すうしてもう一度観たい
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