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スリー・ビルボードのharukaのネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

なんでもかんでも良し悪しや正解不正解、二元論で決着をつけたくなりがちだけれど、そうはいかないところが「人間」だよなあと思う。全員が完璧ではなく見方を変えれば全員が「悪い」部分を持っていて、正義や信念だと掲げたものが一方では正しく、一方では受け入れ難いものであり、しかしその一手は確からしく連鎖的に波及していくという現実。その現実を目の当たりにしたとき、固く誓った覚悟の上に毅然と立ち続けられるのか。無敵に見えた彼女でも、微かに震えるシーンが刺さりました。
まあそんなことでそれぞれの立場を考えたらかなりの八方塞がりに息苦しくなるようで辛かったけれど、それでもラストにかけて少しずつ見えてくる「変化」に希望を見出せてとても救われました。そういう意味でとても良い締めだった。

残りは好きな俳優の話ばかりですが、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、めちゃめちゃにかわいくなかったですか…キャラも顔も全部かわいかったけれど、病室で震えた背中がいっとうかわいかった。
レッドとディクソンの関係性もとても良かった。パンフレット未読、トークショーや監督のインタビューなども見ていないので完全なる個人の感想ですが、きっとこの2人って昔からの腐れ縁で(役者の歳が離れすぎているから同級の設定ってこたあないか…でもそんなように見えました)、ディクソンはずっと昔からレッドの純朴さや素直さを心のどこかで羨んでいたのだと思った。それが能天気な間抜けにも見えるものだから、同じだけ気に食わなくて嫌いだと思い続けて、本人はその本心に気付いてすらいなかったのだろうけど。病室での謝罪シーンからのオレンジジュース、ミルドレッドとディクソンのラストと同じくらい好きでした。レッドへの当たり方や母親との関係性、そしてレイシストのように振る舞うことなどから、もしかしたらディクソンはゲイだったのかなあなんて思ったりもしました。

あとは不覚にもルーカス・ヘッジズが出ることを知らなかったので不意打ちに鳩尾を殴られたのだけど、本当彼、葛藤を抱えながらしかし内からこみ上げる怒りを抑えきれない青年の役が上手い。ウディ・ハレルソンもだけれど、好きな俳優ばかり出ていた…眼福
それにしても血塗れがお約束すぎて、そこまで込みでケイレブっていう概念のかな…とか思った。本当良かったです、好き!
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