さうすぽー

スリー・ビルボードのさうすぽーのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5
自己満足点 88点

最初の大まかなあらすじと、ジャンルがクライムドラマという事は聞いてはいたのですが、「さすがアカデミー賞候補だ!」と言わんばかりの重厚なドラマでした。
最初は単に娘を殺された母親の復習劇だと思ったのですが、決してそういう訳では無く、母親や3つの広告看板を巡って周りの人物の関係性を描く話だとは思わなかったです。

この作品もなかなか考えさせられます。
主人公の母親の境遇を理解した上で、憎しみだけで事件が解決するのか、そして自分の心が満たされるのか否かを考える事が出来ました。

とにかく人物描写は「万引き家族」に匹敵するくらいのリアルさを感じました。
誰一人決して悪い人物に描いてないのが印象的でした。
先程も挙げましたが、主人公の母親は境遇的には同情されるべき人物なのですが、次第にその憎しみや正義感が暴走してしまいます。
前半のキーマンとなる警察署長も良いです。
差別主義な白人警官も初めは本当に嫌いでイライラしましたが、決して悪い人物ではなく、中盤の謝罪シーンでこいつを許すことが出来ました。

キャストは、殆どの人物が良かったです。
特に母親役のフランシス・マクドーマンドは素晴らしいです。憎しみや悲しみを表現するのが上手いですし、この人のおかげで冒頭から映像に引き込まれました。

欠点はほぼ無かったのですが、
同じくヒューマンドラマ要素が強い「万引き家族」の方が感動しました。
もちろん素晴らしい部分は多いのですが、これが「ベスト候補」という程では無かったです。
恐らく、演出やカメラワークだと思います。
決して微妙だったわけでは無いし良い部分もあるのですが、些か地味に感じたのは否めないです。

しかしそれを踏まえても、この映画には非常に考えさせられました。
個人的には作品賞を獲った「シェイプ・オブ・ウォーター」よりも好きでした。

2018年 ベスト8位