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スリー・ビルボードのあのネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

道々考えればいいわよ

 ひとつの事件をきっかけに様々な人物の心理が交差するサスペンスドラマ。そしてミズーリ州の田舎町を舞台とし、アメリカ、あるいは世界に古くから存在する根深い問題を取り上げたブラックコメディでもある。

 フランシス・マクドーマンド演じるミルドレッドは、イーストウッドよろしく頑固で戦闘的なお母さん。
 ウディ・ハレルソン演じるウィロビー署長は、誠実な人柄で町の住人たちからの信頼も厚い。
 そしてサム・ロックウェル演じるディクソン巡査は、ウィロビー署長を慕っているおバカなレイシストだ。

 しかし、人は善人と悪人というように二項対立的に分けられるほど単純なものではなく、彼らは手紙やオレンジジュースをきっかけに変わっていく。最後にはあれほどいがみ合っていた2人が並んで座席に座っている。一見どうにもなっていないようであるが、人は分かり合えるはずだという前向きなメッセージが示されている最高のエンディングだ。

 先の読めない脚本と、作品のテーマを正確に表現した役者の演技はもちろん素晴らしいし、対面的な町の構図とそれを活かした長回しのワンカットもしっかり決まっている。さらには劇中で使用される曲の全てにも意味がある。

 観客の心をブンブンブンブンぶん回した挙句、優しい余韻を残した結末でテーマを投げかけてくるこの作品、間違いなく名作でしょう!!
あ