すん

ダンボのすんのネタバレレビュー・内容・結末

ダンボ(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ある意味で激ヤバなのである。

オリジナル版のかわいい動物キャラクターはオマケ出演程度に扱いに貶められ、ストーリーは前半にダイジェストのように片付けられ、後半も全く違う話にすり替わっている。

ファンの多い作品なのでそこに不満も出るだろうし、改変されたストーリーのあらすじ自体は良くある話に落ち着いている(それでも僕はわりと楽しめたが)

では何がヤバいのかというと、本作の悪役が何を隠そう「ウォルト・ディズニー」であるからだ。
もちろんウォルト本人の話ではない。
マイケル・キートン演じる悪役は、テーマパーク「ドリームランド」を有し、その中の「コロシアム」というサーカステントでダンボを使い興収を得ようとする。

その「ドリームランド」がまさに「ディズニーランド」のオマージュ、パロディであり、劇中登場する「ワンダーズ・オブ・サイエンス」はウォルトディズニーワールドの「カルーセル・オブ・プログレス」に酷似している。

キートン演じる悪役の口から放たれる「不可能を可能にする」「誰にも夢を制限させるな」というセリフは、実にウォルト的である。娘のミリーの科学好きを良く思わない主人公ホルト(コリン・ファレル)は彼のセリフにばつの悪そうな顔をする。
誰がどう見ても悪役なのに、そのセリフに困惑すらする。

だんだんと化けの皮が剥がれ、そしてラストではその夢の国が崩れ落ちる。
この意味を僕は未だに理解できていない。

様々なディズニー映画の「過去の解釈」を最新の映画やリメイクで塗り替えてきた彼らである。
受け身のプリンセスから自立した女性像へ、恋をしない女性へ、有色人種への理解へ、マイノリティの理解へ、動物たちの解放へ、役割からの脱却へ、、、、

プリンセスの概念を大胆に塗り替えるのは終わった、次は「ウォルト・ディズニー像」からの脱却だ、とでも言いたいのだろうか。
「ディズニーによるディズニー的なしがらみからの脱却」の究極系、それは「ウォルトを否定すること」「ウォルトを疑うこと」だと言われてしまったような気がする。

不満にも思う人もいるだろう、そんな大胆に描いてしまっていいのか?とも思う、かなりの問題作である。
それでいて、「いつものディズニー」としてもきちんと着地点をつけている映画である。

色々不安だったけど、ちょろいオタクなのでケイシージュニアのテーマがアレンジで聴けただけでニヤニヤしました。コウノトリとか細かい描写もGood。カラスは出てきてほしかったかな…セリフだけ引用されてたけど。

とにかくティム・バートンに拍手。

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https://www.sun-ahhyo.info/entry/2019/03/31/123000
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