かじドゥンドゥン

アルカディアのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

アルカディア(2017年製作の映画)
3.5
集団自殺をもくろむカルト集団を抜け出て、まともな社会生活を送っている兄弟、ジャスティンとアーロン。しかしある日、教団からビデオレターが送られてきたのをきっかけに、教団の集団自殺「昇天」が近いと危ぶんだアーロンは、兄を説得して、教団のキャンプを訪れることに。

キャンプで意外と歓迎された兄弟は、ずるずると滞在期間を延し始め、不可思議な出来事を次々と体験する。まず、教団が神と崇める存在は、自分が見たものを(予言も含めて)映像化し、信徒にメッセージとして授ける。また、個人差(地域差)はあるが、一定の周期で時間がループし、まるで一本のビデオテープを延々と繰り返し再生し続けているような人生が送られている。

神的な存在がもたらすこのループに取り込まれては大変と、兄弟は力を合わせて脱出を決意。二人の間にあった確執を乗り越え、目の前にあるように見える壁を恐れず、猛スピードの車で壁を突破して、キャンプの外に脱出。歓喜の声をあげる兄弟。

しかし、よくよく考えてみると、彼らはループを逃れたのではなく、〈教団を統べるループに気付いて命からがらその手から逃れる〉という物語を延々ループしている(?)つまり彼らの脱出劇はこれが最初ではなかった。

この世界が、超越的な存在者の見る夢である、というような設定の神話は存在するが、一切が神の再生するビデオテープに過ぎないという設定は面白い。