MikiMickle

セブン・シスターズのMikiMickleのレビュー・感想・評価

セブン・シスターズ(2017年製作の映画)
3.8
人口増加が加速する地球。それによる資源の消費、気候変動などが問題となっていた。食料不足の為の解決策であった遺伝子組み換え作物は人体に影響を及ぼし、結果的に多生児の出産が急増する事に…
世界は、「一家族につき子供1人」という一人っ子政策“児童分配法”を打ち出す事となる。
それでも生まれてしまった子供は人口問題が落ち着くまで冷凍睡眠につかされる…

そんな中、セットマン家では7つ子が生まれる。(母は出産で死亡。父は不明。)祖父であるテレンス(ウィリアム・デフォー) は、子供たちに“曜日”の名前をつけ、秘密裏に育てていた。
全てがIDチップで管理される中、子供らは名前の曜日の日にだけ外出し、その体験を毎日欠かさず共有し、「1人のカレンという女性」として生きてきた。
つまり、7人の人格があわさったものが「カレン」であり、それぞれがカレンを作り上げてその仮面を被ってきたのだ。

彼女たちが30歳になったある日。カレンの昇進がかかったある日。“月曜日”が行方不明になる……真面目な“月曜日”に何が起こったのか… そして、彼女たちは命を狙われてしまう… というストーリー。


まず、1人で7人を演じたノオミ・ラパスの演技に拍手‼
個性豊かな7人の人格は、
月曜日 真面目
火曜日 神経質なヒッピー
水曜日 ゴリゴリの肉体派
木曜日 反骨精神溢れるパンクス
金曜日 理数系頭脳派
土曜日 お色気ありのパーティー好き
日曜日 家庭的でまとめ役

それだけで単純に面白みがあり、ワクワクする。
そして、その個性ゆえの些細な感情表現もきちんと演じわけられていて。それぞれに違った感情移入をしてしまうのは、その個性も、その裏側にある本質もきちんと見せてくれる脚本もだし、完全に別の俳優が演じている様に思える演技力の賜物でもある。

かつ、メインストーリーの中に、少女時代の回想録が挟まれ、彼女たちがどういった気持ちで30歳まで生きてきたかを端的に無駄なく見せる演出がなされており、想像力を刺激され、更に感情移入する。

正直なところ、中盤から涙がこぼれた。


舞台は近未来のヨーロッパで、将来的に有り得る管理世界。
軸としてはSFであるが、それだけでなくアクションやサスペンスもふんだんにあり、展開もスピーディーで緊張感が途切れない。
彼女たちが命を狙われるのも政治的もくろみがあったり、昇進の話や恋愛が絡んだりしながら物語は進んでいく。

ノオミ・ラパスとウィリアム・デフォーとグレン・クローズという渋い配役も良い。グレン・クローズの、意識高いけど行き過ぎちゃってヤバい感じとか最高だった。

連帯責任と家族。自我。守るべき命と存在意義。政府の裏を調べる中で垣間見れるそれぞれの本質。そして、愛。
なかなか深みと面白さのある映画だった。

監督はトミー・ウィルコラ‼‼「処刑山 デッド卐スノウ」と「ヘンゼル&グレーテル」の監督じゃないかっっっ‼‼ ぶわっ♡どうりで結構人が死ぬわけだっ‼でも、昔のホラー感とはかなり雰囲気が違ったなぁ。ユーモア感は全くなくなってた。
MikiMickle

MikiMickle