遥か昔に熱狂の時代を生きた男が、タイムトラベルのように、別のテレビの時代、2010年代前半という今よりも昔に迷い込んだドキュメントとも言える。だからこそ、欽ちゃんを信じられないと（そしてそれ以上に土屋Pを信じられないと）この映画の目的地が明らかになる終盤まではテレビ界の馴れ合いを見せられているようで、苦しくなる場面もあると思う。
欽ちゃんはかつて100%男と呼ばれ、笑いに”奇跡”を求めた。土屋Pも電波少年を始めとして多くの”奇跡”を生んだ番組を演出してきた。2人を繋ぐのは”奇跡”であることに気付く。しかし、このドキュメンタリーが決定的に突きつけるのは（この映画が公開された2017年以上に）ヤラセが問題になり、テレビの影響力が薄れてしまった今、それでも尚テレビに見る”奇跡”を信じられるのか？ということ。
