三樹夫

スクリームの三樹夫のレビュー・感想・評価

スクリーム(1996年製作の映画)
3.8
90年代後半にまとめてつくられた、学生が殺人鬼に襲われるティーン向けホラーの代表作。『スクリーム』→『ラストサマー』(脚本家が『スクリーム』と一緒)→『ルール』(プロデューサーが『ラストサマー』と一緒)という流れで製作されていくので、この3作品はどこか似ているのも当然というか、関わっている人がかぶっている。どれも1作目はヒットし続編が作られたが、『スクリーム2』はヒット、『ラストサマー2』はこけた、『ルール2』はこけ気味と続編は結果が分かれた。監督は『エルム街の悪夢 』、『鮮血の美学』、『サランドラ 』などホラー作品を監督してきて、大学で教鞭も取っていたインテリのウェス・クレイヴンが担当することでホラー映画へのメタ的な視点が導入された。主人公が、胸だけでかくて叫ぶだけしか能のない大根役者が外に逃げればいいのになぜか2階に逃げるなんて馬鹿らしいからホラーは嫌いと発言したり、ホラー映画のルール(というか手癖)が言及的に盛り込まれている。
そういえば90年代後半ってティーン向けホラーが流行ってたなと『スクリーム』、『ラストサマー』、『ルール』を固めて観るという人生に何の寄与もしない映画体験したけど、『スクリーム』が一番出来良いというか、こんなもん真面目に作ってもガバガバにしかならんというのに気が付いた。もちろんそれぞれの監督の演出力の違いとかあるけど。スクリームは殺人鬼が何回も閉まるドアに吹き飛んだりとか完全にマヌケな奴で、コメディ要素入れることでガバガバさを中和しているというか、ガバいところに突っ込んでもしょうがない気持ちになる。メタ視点なし、コメディ要素なしで殺人鬼をシリアスに描いてる『ラストサマー』と『ルール』は真面目にやってる分ガバガバなところが目立って気になってしまう。どうやったってガバガバなんだからおちょくる方向で殺人鬼を完全にマヌケにしたのは上手いこと作ってるなと思った。

この映画というか、『スクリーム』、『ラストサマー』、『ルール』のティーン向けホラーに共通するものとして民度の低さがある。『スクリーム』の世界の住民は主人公を除いて特に民度低すぎ。人死んでるのに殺人鬼の面をかぶって学校ではしゃぐ生徒(退学を宣告)、とんでもなくゲスなレポーター(フレンズのモニカ)など、スプリングフィールドやサウスパークの住民に匹敵する民度の低さだった。後、スチュアートが凄まじくウザい。ジョックス+お調子者みたいなキャラだが、言動すべてがウザく、ウザすぎてキモい、キショすぎ。現実だとアメリカだろうがどこだろうがあんな奴絶対友達とかできないと断言できるレベルのウザさ。
後、この映画の白眉と言えば冒頭に出てくるドリュー・バリモアがとんでもなく可愛い。他にもネーヴ・キャンベル、ローズ・マッゴーワン出演とアイドル映画的な要素もある。ドリュー・バリモアが劇中でされてたのって、アルジェントとかがよくやる、アイドルな女の子に対するホラー的なサディズムだし。ただ3人とも高校生には見えない。というより公開時、ネーヴ・キャンベルとローズ・マッゴーワンは23歳、ドリュー・バリモアが21歳と、全員二十歳超えてるし当たり前なのかもしれないが。ドリュー・バリモアはこの映画が復活の契機と言われているが、20代で復活期って人生濃すぎ。
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