【償い】
<命題>
犯罪を犯した加害者は果たして幸せになってはいけないのだろうか。
子供を殺した人間は家族を作ることはもちろん、笑ってもいけないのか。
このテーマは一朝一夕には語れないテーマである。
また、加害者側の人間が被害者の元に謝りにいくことも悩ましい。
謝りにいかなければ、誠意がないと怒鳴られ、謝りにいけばそのたびに事件を思い出し、憤りを覚える。
殺人はともかくとして、車や自転車を日ごろ利用する人間は、いつでも人を死亡させる危険を有しているという点で、誰しもが他人事にはできない問題であり、常に考えるべき問題だろう。
親友になった友達がかつて「少年A」と呼ばれた凶悪殺人鬼だったら?
そんな設定の本作。
主人公だけでなく、過去に何らかの形で「死」にかかわったこととのある人間たちの群像劇であった。
どの話もやりきれないのだが、特にタクシードライバーをしているある加害者の父の話が一番つらかった。
「お前のために家族を解散したのに、お前が家族を作るのかよ」
責められても謝罪し続け、自分の生活を失い、幸せすらもなくなった。
(もっとも、あの白髪の違和感はすごかった)
主人公が隠していた過去の秘密が明らかになるのは最後。
※記者のやり方は相変わらず汚い。
「行き詰ってる」とかいって近寄ってきやがって、
あの女記者だけは絶許。
2019.1.22